ホーチミン旅の夕暮れに
海老乃家 ディレクターの元家です。
世界の海老料理をめぐる連載「旅と海老料理と。」
第2回の舞台はベトナム、ホーチミン。
時を遡り、7年前の夏。
海老乃家ファクトリーで一緒に働いていたベトナム出身の仲間に会いに行く旅でした。ローカルなお店を訪れ、ベトナム料理の代名詞 フォーを楽しんだり、マンゴスチンなどの南国フルーツを屋台で購入してすぐに食べたり…
現地に溶け込む充実した旅でした。この日、私は朝から街歩きや市場巡りを楽しみ、気づけばすっかり日が傾いていました。
疲れた身体と、空いたお腹を抱えていたそのとき、街角の小さな屋台から漂ってきたのは、甘辛いタレの香り。
その香りに誘われて出会ったのが、今回の一皿。フーティウでした。
フーティウとは?——ベトナム南部の麺料理
下記写真の「フォー」はベトナムの麺料理として日本でも広く知られています。
ご存じの方も多いと思います。(こちらも美味しく、滞在中色々なお店で楽しみました)実は、フォーはベトナム北部の食文化です。
南部、特にホーチミンで多く見かけるのが「フーティウ」です。
フォーとの違いは、麺。
一度天日干しにして乾燥させる工程を挟み、麺が細くコシがあることが特徴です。
讃岐生まれ・讃岐育ちの私はコシの強い麺が大好物…!
今回いただいたのは、スープが別になっており
具材と麺を甘辛いタレで和える、フォーとは見た目が全く違う料理でした。
観光の疲れも吹き飛ぶ、絶品の一皿
訪れたのはホーチミン中心部の路地にある小さなお店。
観光客向けではなく、地元の人々が夕食をとっているような雰囲気のお店でした。
注文して待つこと数分、登場したのは米麺に、海老、豚肉、カニ、野菜と青ネギがどっさりのった一皿。
豪華なトッピングに驚きました。
異国で食べる初めての料理は、ワクワクしつつもちょっとドキドキします…!
まずはそのままひと口。
香ばしい甘辛だれが、麺によく絡んでいて、ほんのりとしたにんにくのコクもたまりません。
そこに、ぷりぷりの海老の存在感。
八宝菜などの料理もそうですが、海老は豚肉との相性も良いですよね。
現地の方から、『麺を食べて別添のスープを飲む、を交互に繰り返して楽しむ』と教えてもらいました。
気づけば一気に完食。
観光で疲れた身体に、まさにぴったりのエネルギー補給となりました。
その時は疲れていた事もあり、ただただ「美味しかった!」と満足して終わり、お店の写真も撮っていませんでした…(後悔)
しかし後に、また食べたい、忘れられない一皿になりました。
日常に溶け込む海老
料理に使われていたのは、おそらくバナメイ種の海老。
しっとりと柔らかく、やさしい味わいでした。
ベトナムは、バナメイ海老の養殖がさかんな一大産地。
現地で加工されたものが、日本のスーパーにも多く流通していますね。
市場や屋台で、頻繁に海老を見かけたホーチミン。さすが、一大産地です。
淡泊な分、濃いタレとの相性は抜群です。
海老は麺との組み合わせも最高で、その組み合わせは何通りも。
自宅ではパスタを作りがちですが、ちょっと気分を変えたい時は、ヘルシーな米麺にも挑戦してみたいと思いました。
また一皿、旅が教えてくれたこと
ホーチミンの夕暮れ、ふと立ち寄った小さなお店で食べたフーティウ。
その香り、味、空気感——
海老はその土地の暮らしを、こんなにも鮮やかに映し出してくれるのかと、改めて感じました。
「旅と海老料理と。」はまだ始まったばかり。
次回も、どうぞお楽しみに。